いちごジャムとヨーグルトで人生観が変わった話
その日、僕は空を見つめながら「oh my little girl 暖めて あげよう」とこぼした。
そんな僕の不安を他所に、カフェの左隣に座っているおやじは飛んでいる蚊かハエかわからない飛行物を必死に素手で殺そうとしている。
右隣のおばさん4人組、こっちはなかなか面白いメンツがそろった。
50代くらいだろうか。
この人たちはさっきから息子の話や、同級生の男子がどうの(昔の話?)など言いながら、挙げ句の果てにはiPhoneでお互いを写メりだした。
かわいいじゃないか。
四人組の2人側から撮り終えたあと、もう片方からも私が撮ってあげるよと言ってみんなの写真をとりあって楽しんでいるようだ。
しかし、ここで事件が起こる。
その4人組の中のうちの一人が前触れもなく、突然、「ヒヒンッ!!」と叫んだのである。
僕は一瞬自分が今聞いたものが幻聴なのかと思い、「こ、これは幻聴か!?と叫びそうになった」と叫んだ。
幸い周りには、この叫びを気にするものはいなかった。
そう思った矢先に、隣のおやじはついにソファに蚊(ハエ)がとまったところを叩き潰すことに成功したようである。
すごく得意げな顔をしている。
それはさておき、おばさんである。
「ヒヒンッ!」と叫んだおばさんの方をみると、「私に尻尾がはえちゃう!」と言っている。
いや、もうこれは幻聴ではない。
確かに聞いたのだ。
「私に尻尾がはえちゃう!」
僕はもうわけが分からなくなり、BLTサンドをかじりながら、「oh my little girl 暖めて あげよう」とつぶやいた。
僕はもうこの人生と向き合うのが怖くなった。
おばさんになると、カフェで「ヒヒンッ!私に尻尾がはえちゃう!!」ということすらごく自然なこと、この世の常であると感じるようにすらなってしまうのである。
僕はもうさっきの写メを取り合ってたおばさんたちを見ていたときと同じ目では見れなくなった。同時に、この目の前で起きているありのままの現実をなんとか先代に語り継ごうと思い、人生 is 最高 ブログを書いている。
ああ、人生 is 最高。
この名前をつけた自分を今なら誇らしく思える。